ペットサーチ@ふふトップへ戻る
 第十六回  「これで一巻の終わり?!心臓が止まった出来事」
1>>101112131415161718192021 「ペット業界から熱く語れ」
トップへ戻る
 

1月の寒波はどこへやら、節分の頃くらいからなんとな〜く
ポカポカとしたお天気が続いてますね。とても2月とは思えません。
なんとも過ごしやすい、ペットシッターにとってはありがたい天候です。
このまま春にならないかなぁー。 (o⌒∇⌒o)
会社勤めをしていた頃は、ほとんどオフィスの中で仕事をしてましたんで、大ざっぱな季節感しか感じない私でしたが、今はもっと細やかにこの国の四季を感じています。

先日、春一番が吹きましたね。
「春一番」といえばキャンディーズ!
“雪がとけて、川になぁって、流れてゆきます♪”だったかな?
ちなみに私はこの曲よりも、「微笑がえし」の方が好きでした。
 “♪春一番が〜、掃除したてのサッシの窓にー”ってやつ。

ん?何を書いてるんだ?私は。 話がそれました。(^.^; オホホホ 


さて、今回は前回のエッセイで予告させていただいた通り、シッティング中の絶対に起きてはならない事件、事件というより「完全なるミス」について書きたいと思います。これは、今後ペットシッターを目指す方などに反面教師的出来事として役に立つのではないかと思います。

今までに何度かシッターの仕事中にハプニングは経験していますが、今回は「40sを越す大型犬の座り込み事件」「エレベーター点検中で、14階から1階まで3匹のわんこを抱っこして降りて膝がガクガク事件」などのように、“終わってしまえば笑い話”のレベルではありません。

血の気が引き、パニックで頭は真っ白、マジメに廃業を覚悟した出来事です。

あれは、2月の初旬でした。

私は今、ワンちゃんのお散歩代行のお仕事を長期でお引き受けしているのですが、週に3回、5〜6匹のワンちゃんたちを毎回2回に分けて散歩に連れて行っています。

このお仕事は、昨年の12月からお引き受けしてまして、あれから約1ヵ月半が経ち、ワンちゃんたちもほどよく私に慣れてくれ、また私自身も、散歩中のコツをつかみ、仕事に慣れてきた時期でした。

小型犬ですので、引きが強いとか、何かに突進したりするということはほとんどありません。
あったとしても、力が弱いので制御できます。とはいえ、動きが細かく、素早いため、3本持っているリードはいつもグチャグチャと絡まります。 

で、私は決してリードを落としたり、手から離したりしないように気をつけながら、もつれを解消しつつ散歩をさせています。仕事に慣れ、ワンちゃんたちも私に慣れてくれたとはいっても、犬たちが逃亡する危険性が100%ないとは言い切れない訳で、常に注意しながらお散歩していました。 

ちょっと神経質なんじゃない?と思われるほどに私の手元はいつも緊張に満ちているのです。体中の血が逆流しそうな事件は、いろんな要素が絡まって起きました。それは、ワンちゃんたちが芝生の匂いをクンクンと嗅ぎまわり、日向ぼっこを楽しんでいるいつもの公園で起きたのです。

事件が起きた理由 その1.

その日は、いつもの公園の中ではあっても、普段はあまり歩かない場所に「探検しよっか!」と思い立ち、ワンちゃんたちを慣れない場所へ連れて行った。

事件が起きた理由 その2.

3匹いるワンちゃんの内、1匹がうんちをしはじめた。私はそれを処理するためにかがみ込みビニール袋を取り出そうと、ほんのわずかだったが、リードを持つ手が緩んだ。

事件が起きた理由 その3.

運の悪いことに、今の時期、住宅地をよく通る、灯油販売の車が大きな音量でアナウンスしながら公園前を通った。

私がうんちを処理するために体勢を変えて、かがみ込んだところに、灯油販売の大音量のアナウンスが聞こえてきたため、1匹のワンちゃんが、普段は見せない異常な反応をして駆け出しました!

私はラガーマンよろしく、そのワンちゃんを捕まえようと飛び掛りましたが、私の手はリードにすら届かず、わんこは猛ダッシュでさっき歩いてきた道を走り去って行きます。

もうこの時点で私はパニックです。

『大変なことが起きてしまった!! (」゜ロ゜)」』

そうです、あってはならないことが目の前で起きてしまったんです。

『○○ちゃん!○○ちゃーん!』と名前を呼んでも立ち止まりも、振り向きもせず、わんこは走り去っていきます。 私は残ったわんこ2匹のリードを、目の前にあった木の枝にひっかけて逃げたわんこを全速力で追いかけました。

散歩コースは住宅地で比較的車が少ないとはいっても、それでも車が行き交う交差点がいくつかあります。わんこを追いかける必死な私の姿に気づいて、通りがかりの人たちもなんとか逃亡するワンコを止めようとしてくれるのですが、逃亡ワンコは、それはそれは物凄いスピードですり抜け、走り去ります。 そう、この逃亡ワンコ自身も大パニックなのです。

逃亡ワンコを追いかける私の心臓も肺ももう、ゼイゼイ、バクバクでボロボロですが、なんとしても、捕まえなければなりません。

事故や行方不明になったなんてことがあっては絶対にいけないのです。
そう、絶対にです。

逃亡ワンコを追いかけながら、公園に残してきたワンコたちのことも気になります。必死な私は、通りがかりの人に必死な形相でお願いします。

『ゼーッ、ゼーッ、公園に犬を2匹置いてきたんです。ハーッ、ハーッ』

『申し訳ありませんが、あの子たちを見ていてもらえませんかっ!!!』

予期せず、私の目には涙が浮かんでいます。
もう必死です。恥も外聞も物怖じもありゃしません!‘生きるか死ぬか’の勢いと迫力です。

ありがたいことに、その通りがかりの人は「分かりました!公園にいるのね!」と一体何が起きたのか分からずにたたずんでいるであろう2匹のわんこたちの元に走って行ってくれました。 感謝!

そして、私はまた逃亡ワンコを追いかけます。もはや、逃げ出したワンコの姿は私の視界にはありません。最悪の事態が私の頭をよぎります。。。。。それでも、逃亡ワンコがたどるであろう道を推測しながら必死に追いかける私。いろんなことが頭を行き交います。

“万が一、万が一、事故に合ったらどうやって、償おう”

“覚悟をしなければ! 開業したばっかりだけど、この責任からは逃れられないし”

“最悪の場合は廃業よね。。。やっぱりそうよね。。。”

“腹をくくるしかないの??!?!?!仕方ない。私の過失だ。でも、、、、。” 

“公園に残してきたワンコたちは待っててくれるかな。彼らも逃げてしまったら。。。”

“飼い主さまに、どう報告しよう。言い訳はできない。正直に詫びて償うしかないよね”

“私ったら、なんてバカなことをしでかしてしまったんだろう。。。どうしたらいいんだ!!!”

“神様、どうか、どーか、お願いします。逃亡ワンコを守って下さい。そのためなら何でもします!”

そんなことを考えながら、脱走ワンコが無事に家に帰ってくれていることを祈りつつ飼い主さまの住むマンションに駆けつけました。やっとの思いでマンションにたどり着き、すごい形相でマンションのロビーに駆け込んできた私とすれ違いざまに、これまた通りがかりの人が 

『今、ちっちゃなワンちゃんが、中に入って行きましたよ!』と言ってくれるではありませんか!

私がワンコを追いかけてきたと察してくれたんですね。

逃亡ワンコを自分の目で確認した私は、

“あーーーーーっ、無事なんだーーーーーっ、○○ちゃーん。。。よかったよぉぉぉぉ。”

“んもーう、無事でいてくれてホントよかったーーーーーっ。(涙)”

“ごめんねーーーっ、ビックリしたよねーーーっ、ごめんごめん。。ホントごめん。”

駆け寄る私にビビるワンコ。そりゃそうでしょう。彼も私もお互いパニックなんですから。。。それでも、腰を落として脱走ワンコに近寄り、体の下から手を回し、ヒシと抱きしめました。でも、これで安心する訳にはいきません。
2匹のわんこ達が公園で、不安で一杯で待っているに違いないのです。脱走ワンコを胸にしっかり抱きしめて、走ってきた道をまたしても、駆け戻りました。

普段、犬の散歩で随分運動しているつもりでいましたが、こんなに全力で走ったことなんて高校生時代の体育の授業の100メートル走以来でしたので、私の体はもう破壊寸前です。でも、気力で公園まで走り戻りました。

すると、残された2匹のワンコたちは、通り道で無理矢理お願いさせてもらった方にちゃんと保護されていました。 この時ばかりは全身の緊張と力が抜けて、崩れてしまいそうでした。

2匹のワンコを保護して下さった方も、ワンちゃんを飼っていらっしゃる方で、まるで自分のことのように、私と共に半泣き状態で、逃げたわんこの無事を喜んで下さいました。。。。

この時ばかりは、“この世は優しさであふれてるじゃないか!”と真剣に思ってしまいましたね。その方には何度も何度もお礼を申し上げさせてもらいました。

そして、何事もなかったかのように、3匹のワンコ達と共に家に帰る道すがら、私は、心の中で 神さまと仏さまとご先祖さまとワンコの神さま、ニャンコの神さま、ともかくたくさんの神さまに心から感謝しました。

そしてそして、“この世に神はいる!” とまたもや真剣に思ってしまいました。

飼い主さまには事の一部始終を正直にお話し、平に平にお詫びいたしました。
大変な事態に発展しなかったから良かったようなものの、決してあってはならないことなんです。反省して償えば済むような問題ではないのです。ペットのお世話を職業としてお受けしている限り。。。と、私は思っています。

ペットは生き物です。

命あるものなんです。

同じワンちゃんや猫ちゃんなんて1匹としていないのです。

そして、飼い主さまにとってはかけがえのない家族の一員なんです。

そんなことを再度自分に言い聞かせました。

今回の出来事は、当分忘れられそうもありません。また忘れてはならないと思っています。

この事件以降、私が今まで以上に気を引き締めて仕事に臨むようになったのはいうまでもありません。いつも、責任を持って仕事をしているつもりでも、ほんのちょっとの油断が大きな事故に発展し兼ねないということ、身をもって体験しました。

血の気が引くとはまさにこのことです。
もう二度と経験したくはありませんが、手痛い学習の機会となったことは確かです。 今でも、例の公園に散歩に行く度に、逃亡事件を毎回思い出します。(>_<)

これからペットシッターを目指そうとする方はもちろんですが、飼い主の皆さんも、気をつけて下さいね。 寿命が縮まりました。。。

このエッセイを書きながらあの時の緊張が蘇ってきました。。。
もう懲り懲りです。 (´o`;

 

このページの上へ

ご意見・ご感想はこちらからどうぞ>>ご意見ご感想はこちらから


ペットサーチ@ふふ
ペットサーチ@ふふ
トップページへ戻る