◆Q◆
そもそも「犬のしつけ」というのは必要なのでしょうか??
◆A◆
まず、「しつけ」とはなんでしょう?
それは「スワレ、フセ、マテ」などの「訓練」とは違うものですので、
ここでは区別して話を進めさせて頂きたいと思います。(*注1参照)
「しつけは必要か?」と聞かれたら、私には答えられません。
「この子(犬)にしつけは必要か?」と聞かれたら、その子(犬)をみて
答えます。しつけなくても吠えない子(犬)もいますし、吠えて吠えて、
うるさくて困る子(犬)もいます。
正しいつき合い方をすれば、特別なしつけはいらないのだと思います。
(わざわざ「しつけ」と表現する必要が無い、という意味です)
しかし、問題行動をする犬の飼い主さんの多くが、ボディーランゲージを
誤解して、まちがったつき合い方をしてしまっています。
都会では都会での、郊外では郊外での、必要なお行儀があります。
都会の家でトランペットの練習はできません。隣近所に迷惑です。
気に入らないからといって、いきなり人を殴るのも社会の迷惑です。
都会で吠える犬は、迷惑です。気に入らないから、いきなり人、犬を噛む
犬も迷惑です。迷惑どころか、本人(本犬)の命に関わることです!
人を噛んだ場合は、処分しなければならないことも珍しいことではありません。
◆Q◆
これはわたしの実感なのですが、特別なしつけをしなくても人間の言う
ことをよく聞き分ける犬ときちんとしつけないと全く手に負えない犬とが
いると思うのですがこれは何故なのでしょうか。
◆A◆
人間と同じように、犬も1頭1頭、すべて性格が違います。犬種によって
も違いますし、同じ犬種でも個体によって全然違います。胴体犬(一緒に
生まれた犬たち)でも、全然違うのです。
ですから、しつけをしなくても、素直に飼い主の言うことを良くきく子(犬)
もいれば、そうでない子(犬)もいます。これは当然のことです。
また、飼い主さん側も、気合いを入れてしつけをしなければならない人と、
普段の生活そのものがしつけになっていたりする人もいます。
しつけは、本を読んでそのとおりにすれば、すべての犬に対処できるという
ものではなく、犬の性格、飼い主さんの性格、生活の環境などを良く考慮し、
対応していかなければいけないものだと思います。
問題行動が発生したら、その子(犬)との接し方に必ず何か問題があります。
見直してみて下さい。
◆Q◆
具体的な問題行動について、基本的な矯正法を教えていただければ、、
と思います。
◆A◆
犬が噛む、吠える、散歩で引っ張る場合、犬の群(家族)における順位の
問題が考えられます。自分が一番偉いと思っていますので、例えば、気に入ら
ないときはその相手を噛んでも良い、文句があれば吠える、散歩は自分の行き
たいところへ行くべきだ、と思っているのです。
問題解決には・対症療法と・原因療法があります。
例えば、犬が散歩の時に引っ張る場合、ヘッドカラーを着けて引っ張れなく
する、というのが対症療法です。
飼い主がリーダーシップを握り、犬の順位を下げて、リーダーの後について
歩くことを教えるのが原因療法です。
Doggy Laboでは、原因療法に重点を置いて、問題を解決していきます。
犬の順位を下げる方法である「アルファドッグプログラム」では、飼い主
さんの犬との関わり方をチェックし、間違っているところを直していただく
ことにより、誰がリーダーであるかを犬の本能に訴えかけ、犬との理想的な
関係をつくっていきます。
つまり、犬に言うことをきいてもらえる飼い主さんを作り出す(?)プログ
ラムなのです。
余談*人間の場合だと、頭が痛いから薬を飲むのが対症療法、
頭痛の原因である、大嫌いな課長に会社を辞めてもらう(!?)のが
原因療法です。
◆Q◆
問題行動の場合ですが、どのくらいの期間をかけて直していくものなので
しょうか。
◆A◆
犬の問題行動の状態と、飼い主さんの性格、理解力、犬への愛情、家族の
協力によって期間は全然違ってしまいます(^^;;;
そこを上手く、わかりやすく説明していくところにこの仕事の醍醐味が
あります。
プログラムは簡単そうに見えますが、実はほんのわずかなタイミングのずれ
とか、動作の違いで違ったメッセージが伝わってしまいます。
つまり、やり方によって、その効果は全く違ってきてしまうのです。
2週間で何の変化もない場合は、プログラムではなく、やり方を見直して
いただく必要があると思います。
家族の中に、裏切り者がいないか、とか(^^;;;
◆Q◆
問題行動の改善は、家族全員の方の協力が必要ということですね。
Doggy Laboさんのプログラムは6週間ですね。
◆A◆
6週間あれば、たいがいの飼い主さんは、どうすれば良いのか習得して
いただけるのです。つまり、飼い主さんのための6週間!?
◆Q◆
「適切なアドバイス」をいただいて真剣に飼い主が努力すれば、その期間
で可能、ということなのですね!!
家庭の犬のしつけで考えた場合、オーストラリアと日本の大きな違いが
ありましたら教えて下さい。
◆A◆
日本ではもちろん、オーストラリアを含め、海外でもまだまだ「訓練」と
「しつけ」は区別して考えられていません。
つまり「訓練所」と「家庭教師」はどこが違うのか、理解されていません。
「専門学校」に行くことと、「親のしつけ」の違いとでも言いましょうか。
犬を預ける訓練方法では、問題行動は完全には解決できません。訓練により
犬は、何をすれば良いのか覚えますが、誰の言うことを聞くべきなのかは、
自分で判断して決めるのです。訓練士の言うことは良くきくが、飼い主の言う
ことは、気が向いたときだけきく、ということが起こる原因がここにあります。
*注1「しつけと訓練の違い」
今まで「しつけ」と「訓練」は区別されて考えられていませんでした。
しかし、実際に犬を飼ってみて「しつけ」と「訓練」とは違うものである
ことに気づきました。
研修先であるシドニーのDOGTECHでは、訓練(服従)=オビディエンスと、
しつけ(行儀)=ビヘイビア は全く違うものという考え方を大きな柱に、
飼い主にしつけ指導をしていきます。
・しつけとは?
「しつけ」とは、飼い主の言うことを聞かなくてはいけない、なんでも
自分の思い通りになるわけではない、思い通りにならないからといって
むやみに噛みついてはいけない(むやみに牙を使ってはいけない)、ムダに
吠えてはいけない、排便はトイレでするなどを教えることです。
犬同士であれば、母犬や先輩の犬、リーダーが教育する内容です。
しつける意味とは、人間社会において、犬と飼い主が気持ち良く一緒に
生活を送るために、他人様に迷惑をかけないようにするために、環境に
あったお行儀を身につけさせる必要があるから、です。
2〜3か月齢から親元を離され、人間と生活していく場合はその機会を
失いますので、人が教育してあげる必要があるのです。
・訓練とは?
「訓練」とは、人間が出す指示に従って
「すわる」「フセる」「横について歩く」などを教えることです。
ただし、同じ訓練を入れたとしても
誰の指示にも良く従う(submissiveなタイプ)子(犬)と、
指示に従う相手を選んでくる(dominantなタイプ)子(犬)とがあります。
訓練士の指示には従うが、飼い主さんの指示にはなかなか従わない、
お父さんの言うことは良くきくが、お母さんの言うことは、気が向かな
ければきかない、(その逆!?)ということが起こるのはそのためです。
それを回避するために、しつけが必要になってきます。
「訓練」と「しつけ」は担当する部分が異なるのです。
Q:質問はペットサーチたま/吉田 A:お答えはDoggy Labo 中西さんです。
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