肥満細胞とは、体に広く分布する細胞で、小血管の周囲に多い自由細胞であります。
慢性炎症で多く出現し、マスト細胞ともいいます。過去には、肥胖細胞と呼ばれたこともあります。
肥満細胞腫は、この細胞が集団化して腫瘍塊となったものを示します。
発生部位は体の各所のほか後脚・会陰部に多く、一つまたは多数の硬結で認められるのが通常です。
表層が潰瘍となり自然に破れることもあり、化膿を伴っていることがあります。
ボクサー犬・ボストンテリアに多く、乳腺種とは異なるものと考えてよいでしょう。
診断は、針生検で組織をとり検鏡(染色)で肥満細胞の未成熟タイプの多いものを悪性と判断します。
悪性と診断されれば早期に手術をする必要があります。
組織検査(針生検)は麻酔の必要もなく致命傷となることは考えられないでしょう。
判定に必要な時間も僅かです。
感染予防は、しっかりする必要があります。
診療や手術に先だって、しっかりしたインフォームドコンセントを受けることが大切です。
手術そのものは、合併症がない限り恐れることはないでしょう。
(獣医師 土井健次郎)
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