110>>>15>>>>2021 「ペット業界から熱く語れ」
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 第二回  「9月20日〜26日は動物愛護週間でした」

小さなマルチーズ。
15才。
年齢とともに薄くなった被毛。
心臓病と皮膚病。
オリの中からこちらを見つめる白くかすんだ瞳。

マルチーズがいる場所は動物管理センター。

この年老いたマルチーズを手放した理由、
「病気になって年もとってるし、もう要らない。」


9月下旬のある秋晴れの日、私の住む福岡の動物管理センターに持ち込まれた
人間でいうところの75歳前後の小さな小さな白いワンちゃん。。。。。

つい数十分前に持ち込まれたばかりで、
どうして自分がここにいるのか事情が飲み込めず、
オリの前を通る人々をきょとんとしながら見つめつつも、
どことなく
「私ってひょっとして捨てられたの?」
という不安を表情に滲ませた物悲しげな顔。

この夏から、仕事の傍らで動物保護活動のボランティアを始めた私にとって
この日の出来事は言葉では言い尽くせないほどにショッキングな出来事でした。

もちろん、このエッセイを読んで下さる皆さんがそうであるように、私も
動物管理センターで何が行われているかということは十分に知っていました。
知っているだけに、きっと正視できない自分が想像でき、
ずっと避けてきた場所でもあります。

それでも、「見ておくべきだ」「見なければならない」という思いも前々から抱いていました。
そして、心を決めて、出向いた場所でした。

それにしても、

動物達が私たち人間に何の駆け引きもなく、無制限に与えてくれるもの、
それは、癒しや無邪気さ、喜び、生命力、一途さ、なぐさみ、そして慈しみの気持ち
etc. etc...
私たちを本来人のあるべき姿にさせてくれて、
人が持っている情愛を何の打算もなく自然な形で引き出してくれる
そんな何物にも代え難い、かけがえのない彼ら動物達への「報い」がこれなのかと。。。。
15年という年月は一体何だったのかと。。。。

管理センターに動物を持ち込まれる方にもいろんな事情があるとは思います。
でも、私の中で沸いてくる憤りや虚しさ、申し訳なさ、無力さを消し去ることは未だにできません。

私には何もできないかもしれません。
でもこの現実をなんとかしたいと強く、強く、強く、思いました。


どうしようもなく気持ちを激しく揺さぶられました。
感情的になってしまう自分を抑えることができませんでした。
どのように表現したら、私のこの思いが伝わるのか
分からなくなってしまうほどの衝撃でした。
今でも自分を冷静にコントロールすることはできません。
すみません。

ひとつだけ、お願いがあります。

将来ペット業界で働きたいと思って勉強をしている学生の皆さん、
これからペットビジネスを始めようとしている方々、
そして既にペット業界に携わっている方、
一度でいいです。
一度で十分なのでこの現実を実際に
ご自分の目で、耳で、体で、あなたの感性で体験してみて下さい。

うざったいことをお願いしていることは重々承知しています。
それでも、なんと思われようとも一度体験して欲しいと思わずにはいられませんでした。

あなたが感じたことをあなたの周囲の人々に伝えて欲しいのです。
そして、管理センターで働く人達へも思いを馳せてみて下さい。
あなたには最後のボタンを押すことができますか?
私には、、、、、できません。
できない代わりに、違う方法を見つけなければならないのです。
私が選んだペットシッターという仕事を通して何ができるか考えたいと思います。

これでも最近は犬に関しては処分される頭数は減ってきています。
でも猫の問題はまだまだ深刻です。
室内飼育や避妊、去勢の推奨を私も微力ながら仕事を通して
伝えていきたいと思います。


動物達を慈しむ思いの欠如は、人間社会のあらゆる
歪みにも何らかの形でリンクしているのではないでしょうか?
「思いやり」というと、とても単純なことに思えるかもしれません。
でも、思いやることがいかに出来ていないか。。。。
深く、深く考えさせられた体験となりました。


幸いにもこの日、
1頭の健康なワンちゃん(ミックス犬の明日美ちゃんこと、あっちゃん♀)をこの管理センターから引き取ることになり、新しい飼い主さんの元へ連れて行くことになりました。
複雑な思いもありますが、これはこれで素晴らしい出来事です。
素直に喜びたいと思います。

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